教えて!よ防さん
Yobousan
教えて!よ坊さん・76「むし歯予防のフッ素はPFAS?」
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人体への影響が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)は歯磨き粉のフッ素と同じ?
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PFASは炭素とフッ素が非常に強く結合した人工の有機フッ素化合物の総称です。水や油をはじき、熱にも強いことから、防水スプレー、消火剤、食品包装などに広く使われてきました。自然界ではほとんど分解されず、体内や環境に蓄積するため「永遠の化学物質」とも呼ばれます。長期的な摂取によって、発がん、ホルモンの乱れ、生殖への影響なども指摘され、世界的に規制が進み、日本でも一部について製品への使用や製造が禁止されています。
一方、歯磨き粉などに含まれるフッ素は無機フッ素化合物。歯のエナメル質を強化し、酸による脱灰を抑える働きがあり、むし歯予防に有効であることが確認されています。歯磨き粉などに含まれる量は非常に少なく、通常の使用では安全とされており、世界中の歯科医療で長年使用されています。ただ、大量に摂取すると中毒症状を引き起こす心配があり、子どもの誤飲などには注意が必要です。
むし歯予防のフッ素をPFASと同じものだと誤解して、心配する人もいますが、別の物質であり、過剰に不安になる必要はありません。これまで通り、安心してフッ素入りの歯磨き粉を使用してください。
<回答=京都府歯科医師会・広報室員 山口荘一>
※「よ坊さん」は日本歯科医師会のイメージキャラクターです。
「毎日新聞京都版・令和7年8月22日」
