教えて!よ防さん
Yobousan
よ坊さんだより・74 要注意!高齢者の歯周病
歯周病は全身の病気と密接に関わりがあることが指摘されていますが、今回はその具体例について説明します。
日本では多くの方が肺炎で亡くなっており2013年には死因の第3位となっています。その背景にあるのが急速に進む人口の高齢化であり、肺炎による死亡者の実に95%を65歳以上の高齢者が占めます。高齢になると肺炎で亡くなられる割合が増える理由のひとつとして不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎があげられます。不顕性誤嚥とは正常な状態では飲み込んで胃に行くはずの唾液などが、飲む力が弱いために肺に入ってしまうことです。そうすると歯周病菌を含む口腔内の細菌が肺に入り誤嚥性肺炎を起こしてしまいます。
また、歯周病菌が血管に入り、全身を巡り心臓に流れてしまうと心臓に炎症を起こし、心臓病になってしまう可能性があります。実際、動脈瘤や動脈硬化病巣に歯周病菌が存在することが明らかとなっています。
さらに歯周病と糖尿病については歯周病の治療を行うと血糖値が改善するという報告がなされています。逆に糖尿病の治療を行い血糖値が改善すると歯周病も改善します。すなわち歯周病と糖尿病は、お互いに密接に関係があるということです。
以上のことから歯周病はもはやお口の中の病気というだけでは済まされません。特に高齢者の方は歯周病治療を行うとともにブラッシングによってお口の中の細菌数を減らすことが非常に重要でありしっかりケアをして健康を維持していただきたいものです。
京都府歯科医師会 広報室 山岡 雄司