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中京歯科医師会、中京区在宅医療・介護連携支援センター合同研修会開催
掲載日:2020.02.25
令和2年2月15日(土)14時より歯科医師会館講堂にて「災害から身を守り教訓を未来へつなげる~命を守る口腔ケア~」と題して、中京歯科医師会と中京区在宅医療・介護連携支援センターの合同研修会が行われました。
平成7年に起こった阪神・淡路大震災から25年、平成23年に起こった東日本大震災から9年、
他にも台風被害や水害が起こるたびに議論される災害対策ではあるが、
今一度被災地での教訓を見直し、災害時の対応を学び直す機会になればとの思いから、
歯科医師だけでなく他の医療関係者や市民の方々まで広く公開されました。
今回は二部構成で行われ、山田香先生の司会のもと、一般社団法人中京区在宅医療センター理事長で中京東部医師会会長でもある俵良裕先生に開会のご挨拶を賜り、第一部では石巻市雄勝歯科診療所 所長の河瀬聡一朗先生にご講演いただきました。 河瀬先生は東日本大震災の津波で診療所などの医療が全て無くなってしまった石巻市雄勝町に平成24年に歯科医師として赴任されました。 報道では被災地でも暴動など起きない日本、と紹介されていたが実際はどの支援よりも早く強盗が訪れるという話があります。そんな厳しい状況の被災地で歯科が出来る役割としては、ご遺体の身元確認と歯科支援活動があります。また災害関連死から人々を守るための役割には口腔ケアと食支援、歯科応急処置があり、特に口腔ケアによって誤嚥性肺炎を予防することで肺炎による死亡を50%減少できる。さらに避難所では食形態が制限され栄養の偏りも大きくなることから子供ではカリエスや肥満児が増え、高齢者などの社会的弱者では噛む力が低下し、低栄養からフレイルへと移行しやすくなるため口腔の機能を維持させ、全身の管理をすることも重要となります。 健常者でも健康維持が難しい避難所生活において、障がい児・者さんは口腔疾患から全身疾患に移行しやすいため、優先的に支援が必要であると力説されました。また社会的弱者を災害弱者にしないためには、災害が起こる前にリスト作りや施設の準備等、行政や多職種に渡った事前準備が必要であるとも訴えられていました。 東日本大震災だけでなく熊本地震や台風19号被害などでも歯科の立場から様々な支援を続けられている河瀬先生のご講演は大変説得力があり、多くのことを考えさせられるものでした。
第二部では島田弘子氏、荒賀陽子氏、石田雅也氏、安田久理人氏をシンポジストに迎え、災害時に必要な活動についての発表とディスカッションが行われました。災害時の保健師の活動や災害ボランティアセンターについてなど、今後の多職種連携にも大変役立つ情報を得ることが出来ました。 最後は座長も務められた下村典也中京歯科医師会会長より閉会のご挨拶があり、時間をやや延長した研修会は盛況の内に幕を閉じました。