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教えて!よ防さん

Yobousan

よ坊さんだより・93 むし歯の歴史

 日本列島が大陸と陸続きだったころ、日本人は狩猟民族でした。マンモスなどの大型哺乳類を主食とし、主なエネルギー源はタンパク質で、その時代にむし歯は存在しなかったといわれています。時は流れ縄文時代以降、主なエネルギー源がでんぷんなどの糖質(炭水化物)に変化したころからむし歯が発生したことがわかっています。しかし、この時代のむし歯は大人に限定した疾患で、乳歯のむし歯は非常にまれだったようです。

 米食が普及した江戸時代にむし歯の数は急激に増え、砂糖の輸入とともに子どものむし歯もみられるようになりました。さらに砂糖の大量消費が進んだ第二次世界大戦以降、むし歯の低年齢化がどんどん進んでいったと言われています。むし歯の歴史を食生活の変化とともに振り返ると、むし歯の発生には糖質が大きく関与していることがわかります。

 新生児の口腔内にはむし歯の原因菌とされるミュータンスレンサ球菌は存在しません。保護者の唾液を介して口腔内に原因菌が伝搬され、乳歯が生えてくるとともに菌が定着し、それが放置されることによりむし歯の発生へとつながります。つまり子どものむし歯予防のポイントは、保護者、子ども両者ともが砂糖の摂取を控えること、菌が乳歯に定着しないよう仕上げ磨きを欠かさないことが重要です。また歯科医院で歯面をクリーニングすることも効果があります。むし歯がなくても定期的に健診を受けるようにしましょう。

 

京都府歯科医師会 広報室員 高橋康治