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教えて!よ防さん

Yobousan

よ坊さんだより・90 スポーツと歯の関係

 近年、スポーツと歯や口との関係についての研究が進んでいます。「歯を食いしばる」という言葉にもあるように、歯の食いしばりは筋力を増大させることが明らかになっています。また、歯を食いしばることは全身の関節を固定させ、体の軸を安定させる働きもあります。一方で、100m走や野球のピッチングなど、素早いスピードが求められるような状況では、食いしばらないほうがいいということも明らかになってきました。このように、競技やポジションによって、歯を食いしばるか、食いしばらないのかを、適切に使い分けることが競技力向上に繋がっています。

 また、お口の病気がスポーツに影響することもあります。2012年のロンドンオリンピックに参加した選手を対象にした調査によると、むし歯や歯周病にかかっている選手が多く、それが原因で満足のいく競技ができなかった選手もいるという結果でした。大きなむし歯を放置しておくと、衝撃によって折れやすくなりますし、重度の歯周病があると歯がぐらぐらになるため、大事な所で食いしばることができません。状態の悪い親知らずが試合当日に腫れて出場できなくなった選手もいます。このように、意外とアスリートのお口の状態は一般人に比べ悪く、その改善がスポーツ界の課題となっています。悪い所を治しておくことも競技力向上には欠かせません。「健康なお口」というのは、スポーツをする上でも基本となるのです。

 

京都府歯科医師会 広報室員 石橋 淳