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教えて!よ防さん

Yobousan

よ坊さんだより・75 古今東西 歯のおしゃれ

 「お歯黒」をご存知でしょうか?江戸時代の浮世絵には、歯を黒く染めた婦人の姿が多く描かれていますね。その由来については、日本に古来からあったとの説、南方民族が持ってきたとの説、インドから大陸、さらに朝鮮を経て奈良時代に伝わった、など諸説あるようです。また、平安時代に貴族階級の間に広がり、男女とも成人の証として歯を染めるようになった。その後、江戸時代には庶民にもこの風習が広がり、既婚女性の象徴との意味を持つようになりました。そして、明治政府の近代化政策により、ちょんまげや帯刀と共に禁止され、大正時代にはほぼ全国から消失したと言われています。

 お歯黒の染料は植物のタンニン(渋)と第一鉄の化合物から成り、興味あることにこれには、むし歯の予防、進行抑制の作用があります。お歯黒には、お洒落のためばかりでなく、この効果があったため、長く受け継がれて続いていたのでしょう。

 ところ変わって西洋に目に向けてみると、バイキングも歯のおしゃれに興味を持っていたようです。北欧の海を荒々しく凌駕した、こわもてイメージの強いバイキングですが、上の前歯に溝を掘り、脂や炭でペインティングしていたようです。

 「芸能人は歯が命」とは、以前に流行したCMのキャッチコピーですが、芸能人に限らず現在は白い歯が好まれています。毎日のお手入れと歯科医院での定期的、専門的ケアによって歯を大切にしてください。

 

京都府歯科医師会広報担当理事内藤雅文